Delaware by Manatee

  15歳の春が私のアメリカ旅行の始まりだと思う。デラウェア州へは知人を訪ねていった。初めて自分で飛行機のチッケトを取ったのもこの旅行だった。アメリカにずっと憧れて,興奮しつつも,すごく緊張していたのを覚えている。飛行機に1人で13時間も乗っていたのも,税関を一人で通ったのも初めてで,アメリカの何もかもがはじめての旅だった。

   デラウェア州は地図でもどこにあるかよく分からないほどの小さい州だけど,アメリカで一番最初に州として認められた所。特に見るところは何もないけれど,のどかないいところだった。そして,小さい分いろいろなところに行けた。私が降り立ったフィラデルフィアには,アメリカの独立宣言を象徴する「自由の鐘」があるし,ワシントン・D・Cやニューヨークにも近い。

   ワシントン・D・Cへは,日帰りで連れて行ってもらった。リンカーンメモリアル,モニュメント,スミソニアン博物館,ホワイトハウスと,とても1日ではすべて回りきれなかったけど,映画などでよく見る景色の中に自分もいると思うとワクワクした。中でも,ベトナム戦争でなくなった兵士達の名前を刻んである壁が印象的だった。ベトナム戦争のことはあまり知らなかったけど,戦争が激化するにつれて兵士の名前も増え,壁が高くなっていたことや,所々に花や手紙が添えてあったのにはなんとも言えない気分になった。おまわりさんが馬に乗っているのも初めて見た光景だった。「スゴーい」と思いつつも,反面,「おいおい,それで引ったくりや,スピード違反が捕まえられるのか?」と少し疑問にも感じた。おまわりさんも観光用なのかも。スミソニアン博物館は,社会科見学にきた子供達がたくさんいて,さすが観光地と思った。日本語のガイドもあったので,英語ができなくてもあの広ーい博物館で迷う事はない。ここは全部見て回ることができなかったうえ,カメラが途中で壊れてほとんど写真が残っていないので,またいつか行ってみたい場所。

   メリーランド州のチェサピークベイにも連れて行ってもらった。野生のポニーを見たのもここが初めてだった。チェサピークベイは蟹で有名らしく,私達も蟹を食べた。味はそれほどおいしいとは感じなかったと思う。それに、蟹というと身が詰まった蟹を想像する私には,なんかちょっと物足りなかったのを覚えている。

   デラウェアへの旅行では,アメリカのすべてが初めてだったけれど,観光だけではなく,イースター(復活祭)も経験できたのが嬉しかった。イースターはキリスト教の行事で,13日の金曜日に十字架に貼り付けにされ殺されたイエスキリストが,1週間後に復活したのを祝って行われるもの。一般的には,ゆで卵にデコレーションをして,その卵を叢などに隠したのを子供達がバスケットを持って探すというのが習慣。イースターバニーと呼ばれるウサギがこの復活祭の象徴。どうして卵を隠すのか,どうしてウサギなのかは,未だに分からない。誰か分かる人,教えて!!キリスト教徒でも,隠した卵を見つけて喜ぶほどの子供でもなかったけれど,10歳以下の子達に混じって15歳の私も卵を探しに参加してはしゃいだ。

   アメリカには,アーミッシュと呼ばれる人達のコミュニティーがある。アーミッシュの人々は,文明社会から離れ,自分達の生活を送る人達。そこにはテレビも車もなく,流行の服もない。コミュニティーのみんなが協力して,できるだけ時給自足の生活をしている。少し古いけど,「目撃者」(ハリソン・フォード主演)という映画を見れば,彼らの生活がわかると思う。デラウェアには,アーミッシュの人達のコミュニティーがあり,そこのマーケットに買い物に行った。当時の私は,アーミッシュがどういうものかまるで知らなかったので,どうしてみんな同じ服を着ているのか不思議だった。そのマーケットで買った七面鳥は,私が生まれて初めて食べた七面鳥。それまで,お肉といえば,鶏,豚,牛くらいしか食べた事がなかったので,「エ〜七面鳥?」と思いながら食べたのを覚えている。そして,なかなかおいしかった。

   今こうしてアメリカに住んでいると,たとえ別の州へ行ったとしても,あの時の興奮,緊張や,体験した初めての驚き,疑問,新鮮さなどを感じる事があまりない。あの時ああいう感じ方をできてよかったと思う。なぜなら,あの気持ちがあったから今の旅行好きの私がいるのだから。きっとまた別の外国へ行ったら,あの時のような気持ちになるんだろうなー。

 

*イースターについて友達が教えてくれました。「まず卵、というのは新しい命の象徴です。復活を意味しているらしいです。復活祭の前日に、ウサギが卵(命)を持ってきてくれる、という言い伝えがあるのです 」